花べっぷを支える人々

  • vol.17 姫野 健治さん (森の菓子工房 ミエル) 

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    真っ白の生クリームの上には、フルーツがたっぷり。見るだけで笑顔になってしまうような色鮮やかなホールケーキは、花べっぷにオーダーすると記念日を飾るとっておきのケーキがお部屋に届く。お誕生日や還暦など、お祝いのときには欠かせない。

     

     

    花べっぷのケーキを作っている「森の菓子工房 ミエル」は、まるで森の中にあるようなログハウス風の外観が素敵なまちのお菓子屋さん。中に入ると、色とりどりのケーキや焼き菓子が、甘い香りと共に出迎えてくれる。オーナーシェフである姫野さんはお店の雰囲気そのままの穏やかな方。

    幼稚園のときの夢は、コックさんだったのだとか。「小さい頃から料理が好きだったんです。ケーキを作るようになったのは、母親がケーキ教室を開いていたことがきっかけです。その手伝いをするうちに自分でも作ってみたくなって」電子レンジの説明書に付いているような、簡単なレシピも参考にしながら、オリジナルのケーキを作っていたという。

     

     

    高校卒業後は大阪の専門学校に渡り、ホテルで働いたあと福岡のケーキ屋で修行を積んだ。そこで出会った味が、お店のスイーツのもとになっているという。「うちの生クリームは、コアントローを入れているので、生クリームの味わい深さを生かしながらも、甘さが控えめなのが特徴です」使用している蜂蜜にも、こだわりがあるという。「店名の『ミエル』は、フランス語で蜂蜜という意味なのですが、フランスの特別な蜂蜜を使っているんです」濃厚な色をしたその蜂蜜は、ほんの少し使うだけで豊かな香りが漂うのだとか。

     

     

    甘い味と時間の記憶は、いつまでも心に残るもの。「親しみやすい味のお菓子を作るように心掛けています。まちのケーキ屋さんとして、お客さんから愛されるお店でありたいですね」と姫野さんは微笑んだ。

     

  • vol.16 福田 太喜雄さん (JR九州たまごファーム)

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    花べっぷの朝ご飯で提供される人気のメニュー、たまごかけご飯。コシが強くて弾力のあるたまごを箸で混ぜ、ふっくらつやつや釜炊きご飯にとろりとかけて口に運ぶと、まったりとした濃厚な味が口一杯に広がる。

     

     

     

     

     

    花べっぷでは、JR九州が手掛けるブランドたまご「うちのたまご」を扱っている。福岡の養鶏場で、すくすくと育つ鶏たち。管理会社であるJR九州たまごファームの福田さんは、JR九州からの出向で、元々は関連会社の新規企画などに携わっていたという。「当時の上司に、新たに立ち上がる農業部門に携わらないかといわれたことが、今に繋がっています。元々新しいことをするのが好きだったんです」会社は養鶏場のすぐ隣。通勤時間も長くなり、昔に比べると朝はだいぶ早くなったという。「寝るのが早くなりましたね」と笑う。

     

     

     

     

     

    相手は生き物なので慎重に接する必要があるし休みも取りづらい環境だが、辛さは感じないという。「生産に直接関わる仕事なので、やりがいがあります。携わって1年が経ちましたが、やってみないと分からないことはたくさんあるものだなぁ、としみじみ思いますね。いかに消費者に上手に届けていくかが課題。たまごは待ってはくれませんから」現在取締役である福田さんは、営業も担当している。直接お客さんに接する機会もあり、百貨店などの販売で「美味しかった」「また買いに来るわ」という声を聞くのが嬉しいという。

     

     

     

     

    里山の澄んだ空気の中で育つ親鶏に与えるのは厳選された飼料に、場内で汲み上げる地下水。鶏舎では、一定のサイクルで水洗・消毒して1ヶ月休ませる期間を設けているので、清浄に保たれている。「良いエサや良い環境で育てているのでたまごは決して安くありませんが、私たちは本来鶏さんたちが産みたいと思っているたまごを産ませてあげたいんです」黄身の濃厚な甘さと、ぷりっとした白身がおりなすたまご本来の味を、心ゆくまで味わってみて。

     

  • vol.15 安藤康男さん (別府つげ工芸) 

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    別府市街地の南の端に位置する海にほど近い浜脇地区は、その昔、浜から温泉が湧き出る様子から「浜脇」と名付けられたとされている。明治・大正時代、別府を訪れる観光客は浜脇を目当てにやって来たといわれるほど、栄えた場所だった。

     

     

    当時、豪華な映画館や芝居小屋が立ち並んでいたという松原公園側の、人目を引くモダンな建物が大正8年創業の「別府つげ工芸」。初代からの伝統技術がしっかりと受け継がれており、置物、装飾品、日用品など様々な形のつげ製品を作ることが出来るつげ細工屋は、今では珍しいのだとか。

     

     

    現在の建物は1年程前に改装したもの。改装時、今まで見たことがなかった昔のものが次々と出てきたのだそう。金魚、船、龍…おそらく当時流行ったのであろう帯留めの図案が刻印された、大量のハンコもその1つ。これは、つげに下書きの線をつけるためのものなのだとか。「この図案を考えた祖父は、とにかくきっちり絵を描く人でね。船の絵を描いてほしいとせがんだら、物凄く立派な船を波しぶきつきで描いてくれた。まだ小さかったから、こんなのいやだ!って言っちゃったんだけどね」と、懐かしむように笑う3代目の康男さん。

     

     

    「大切なことは、つげが教えてくれる。いつも心穏やかに物づくりに向き合うことが大切。心が乱れていると、必ず跳ね返ってくる」それが、先代から学んできたことなのだという。職人の代は替わり、時代に合わせて商品も変わってゆく。けれど、大切なことはいつまでも変わらない。つげは作り手の思いをのせて旅立ち、誰かの手元で時を超えて息づいてゆくのだろう。

    使い込むほど風合いを増し、手入れをするこで自分に馴染むものになるつげ製品。手に取れば、なめらかな肌触りと繊細な彫刻の魅力が伝わるはず。