花べっぷを支える人々

  • vol.6 宇都宮 一男さん(嶋竹農興)

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    別府市内で農業を営む宇都宮さんが見せてくれたのは、鮎の塩焼きなどの料理に付いてくる野菜「はじかみ」。「これはもう、先々代から作ってるかなぁ」その昔、別府が観光地として多いに賑わっていたころ、旅館のお料理や、お土産品の酢漬けなどによく用いられていたという。

     

     

    宇都宮さんは、年間120種類程の野菜を育てている。守口、防風…主に懐石料理に利用される野菜の扱いが多いのは、観光地である別府ならでは。モットーは、年間を通じてお客さんに野菜を安定供給できるようにすること。「それが出来なければお客さんに迷惑かけるし、一定した品質というのはきちんと保たなければね」

     

     

    そこに辿り着くまでには、様々な苦労があった。農業を始め、軌道に乗り始めていた20代のころ、大分に大雪が降った。ニュースで取り上げられていた映像に映っていたのは、宇都宮さんのビニールハウスが雪に押し潰されている姿。「全て潰れて、借金だけが残った。こりゃなんとかせんといかんと思って、とにかく次にやるべきことしか考えなかった」常に自然と向き合わなければならない、過酷な仕事。今年も長雨の被害にあった。「しばらくするとまた次の天災がやってくる。どんなにやっても、自然には絶対にかなわない」野菜を必要としてくれる人の手元に届かないことに対して、宇都宮さんはとても責任を感じるのだという。

     

     

    「いい料理人がおって、美味いものを食わせてくれれば、人は満足するわけや。旅行にいって、どこに行って何を見たかも大事やけど、いくらかでもうまいものはあったのか。観光の原点は食だ。なんぼ名があるところにいっても、旨いものに出会ってないことにはきっと満足せん。あそこで食べた、あの野菜が美味しかったなぁと、うちの野菜のことを思い出してくれたら、嬉しいなぁ」と、微笑んだ。