花べっぷを支える人々

  • vol.18 西藤 陽介さん (花あかり)

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    たくさんの植物を抱えて花べっぷにやってくる、笑顔の素敵な西藤さん。生け替えを行うこの日、選んだのはアヤメ、ハラン、ナンテン…どれも初夏を感じさせる、爽やかな植物。ひとつひとつ手に取り、全体を見ながら手際良く生けていく。辺りに漂う静寂感と、ほんの少しの緊張感に、見ているこちらも背筋が伸びるよう。「花べっぷでは、館内の雰囲気に合わせて『日本文化』を感じてもらえるように花や枝を選んでいます。色の組み合わせや、形のバランスなど、考えることはたくさんあります」

     

     

    花の世界に身を置いて、10年。「手に職を付けたかったんです。介護士になろうと思って勉強していたんですけど、試験に落ちてしまって。その時偶然花屋の求人に目が留まったことが、きっかけですね」。就職したのは、葬儀専門の花屋だったという。「花屋といえば、かわいらしい花を扱って花束にするイメージがあったんですが、想像と全然違いましたね。不器用だったし、厳しい世界で大変だったけれど、初めて任せてもらえたときは嬉しかったです。その人にとって、一生に一度。人生の最後を飾る花だから」と振り返る。

     

     

    数年勤め、別の花屋に転職した。「花束や生け花など、花の扱い方は目的によって変わります。技術の幅を広げたかったので、色々な花屋で修行しようと思いました」。経験も積み、独立したいが1人で開業するには不安がある。どうしようか悩んでいたところに、代表が同級生だったことが縁で、現在勤める「花あかり」で働くようになった。今までの経験を活かし、葬儀花からホテル・旅館を彩る生け花まで、全般を担当しているという。「昔は、花はお金を持っている人しか買えない贅沢品、というイメージを持っていたけれど、本当はもっと身近なもの。野に咲く花を1輪テーブルに飾るだけで、空間の雰囲気が変わって気持ちも豊かになる。そういうところが、花の魅力だと思います」と笑う。

     

     

    日常から、非日常へ。見るだけで旅気分へ切り替えてくれる花べっぷ玄関の生け花は、今日も優しく旅人を迎えている。