花べっぷを支える人々

  • vol.14 小谷満治さん (小谷酒店) 

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    別府駅から徒歩5分、4階建ての大きな市営温泉「不老泉」の横に大正9年創業の小谷酒店はある。この場所で生まれ育った満治さんは、現在3代目。「小さい頃は近くにダンスホールがあって、酔っぱらった人がお店に入って来ると、怖くて隠れていたことを覚えてる」と、昔を振り返る。

     

     

    そういうこともあってか、店の手伝いをした記憶はあまり無いという。「継ごうとは思ってなかったな。元々旅行が好きで、そういう仕事をしたかった」転機は家を離れていた大学時代に訪れた。「大学の夏休みに店に帰って来てみると、従業員が辞めて店に人がいなくなっていた。そんな店の現状を見て、学校に戻るのも気が引けて大学のほうは辞めてしまったんだ」領収書の書き方さえ分からなかった当時の満治さんは、まず経営を学ぶために東京の経理専門学校へ行ったのだとか。

     

     

    一通りの知識は身に付け、問屋に電話を掛け商品を卸し、店に陳列して販売する。けれど「何か違う」と、悶々とする日々。ある日テレビを見ていると、地方のまちの酒屋さんのドキュメンタリー番組が流れていた。そこに映っていたのは、酒屋さん自ら蔵元を訪れ、タンクの前でお酒を飲んでいる姿だった。「酒屋が自分の足と舌でお酒を探している。その姿に衝撃を受けました」

    「自ら探したお酒こそ、思い入れを持って売ることが出来るし、責任も自ずと湧いてくる。そのことに気付いたんです」現在店内に所狭しと並んでいるお酒は、ラベルを見れば作り手の顔が見えるという。

     

     

    花べっぷから注文が入ると、その時のとっておきのお酒や満治さんのおすすめを見繕っているのだそう。「鷹来屋さんなど、大分でもいい蔵元がある。店を訪れてくれた観光の方には味見してもらったり、一緒に旅のプランを考えたり…。『また来るね』と言ってもらえたら嬉しいなぁ」と笑う。満治さんを始め、お店にいるのは気さくな方ばかり。お酒と人に触れ合う時間を過ごすことが出来る店だ。