花べっぷを支える人々

  • vol.11 後藤京一さん (後藤豆腐店)

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    創業80年の別府の老舗豆腐店「後藤豆腐店」。後藤さんは現在3代目で、4代目の息子さんと一緒に作業場に立つ。

     

     

    後藤さんのお豆腐は、ちょっと固めでずっしりと重みがあり、口に運ぶと大豆の濃厚な旨味がいっぱいに広がる。「『このお豆腐、味が違う』と言ってもらえるのが嬉しい。でも、年配の方には『懐かしい味』と言われるんです。これが、本来のお豆腐の味」その秘密は、にがり。豆腐を固めるために必要な凝固剤は、現在様々な種類が出回っている。その中でも天然にがりを使用したお豆腐は、現在は数が少なくなってきているのだとか。「にがりは他の凝固剤と比べて固まるのがゆっくりで、扱いが難しいんです。1回混ぜ込めば固まるところを、にがりは固まり具合を見ながら3回に分けて入れる必要がある。使う機材も、通常のものだと上手くいかないので、昔はよく使われていた木ベラを特注で作ってもらいました」

     

     

    昔ながらの製法は、父親から受け継いだ「後藤豆腐店」のこだわり。にがりを使った製法はデリケートなので、何十回と失敗したのだとか。口で伝えるのではなく、体で覚える豆腐作り。父親は84歳まで作業場に出て、後藤さんたちを見守っていたという。「今ある味は、1日1日の積み重ね。粗悪なものを作るのは簡単なんです。『雑に作るな』ということを言われてきたし、息子にも伝えている。毎日作っていて、いいものが出来たな、と思うことはあるけれど満足することってないですね。温度や天気でも仕込みの時間が変わってくる。大豆は生きているんです」

     

     

    「豆腐は、料理の主役にはなれなくても、名脇役にはなれる。本物の豆腐の味を知ってもらえたら、嬉しいです」と、優しく微笑む後藤さん。大豆の味が生きたこだわりの豆腐は、1度食べたら忘れられない味だ。