花べっぷを支える人々

  • vol.10 岩田啓則さん (岩田屋鮮魚店)

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    朝9時、岩田さんはトラックの荷台に魚介類を山盛りに積んで花べっぷにやってくる。積まれた魚介類は、早朝に別府の魚市場から仕入れたばかりで新鮮そのもの。真っ赤な小エビは威勢良く跳ね、魚たちは今にも泳ぎだしそうだった。

    花べっぷの魚は、料理長自ら岩田さんから仕入れを行っている。「カンパチ、いいのが入っているよ」などと、料理長と言葉を交わす岩田さん。ひとしきり見終わった料理長が選んだのは、タイやカンパチなど。今日宿泊されるお客様へのお刺身になるという。

     

     

    別府の「岩田屋鮮魚店」は昭和35年創業。啓則さんは2代目で、本格的に継いでから20年程になる。「父親の手伝いで、高校生の頃からお店に立っていましたね。近所のおばちゃんが良く買いにくるから、今日のおすすめを教えたり、魚に適した調理法を伝えたり。『昨日買った魚、美味しかったわ』と言ってもらえるのが嬉しかったですね」と、 店先での温かいやりとりが心に残っているという岩田さん。今はお得意先に訪問して販売することが多いのだそう。「だけど、仕入れたものをさっきみたいに料理長に見てもらうでしょ。そこで今日はこれが美味しいよ、とか話をしてね。結局、昔とやっていることは一緒なんよ」

     

     

    魚の目利きは、長年の経験に伴う知識と勘がものをいう。「父親や先輩は厳しかったですね」と、岩田さんは懐かしむ。花べっぷ用に揃えられるのは、なるべく大分の海で獲れたもの。「やっぱり地物は味が違う。近いとそれだけ鮮度が高いからね」仕入れを行う時は、花べっぷでこれが出されたらお客さんが喜ぶかな、というところまでを想像するのだという。「そう思って仕入れたものが料理長の目に留まると、想いがぴたりとはまるようで嬉しいね」と笑う。

     

     

    これからの時期に旬を迎える魚は、メバルや城下カレイなど。「豊かな大分の海で育った魚を食べてもらって、ここにはこんなに美味しいものがあるんだな、ということを味わって欲しいね」。岩田さんは今日も新鮮な魚を積んで、別府を走る。